不器用で内向的な14歳の岩倉リエンは、同級生の四方田千砂から不気味なメールを受け取った女子生徒の一人である。その千砂は、ごく最近自殺を遂げたばかりだった。リエンは基本的なテクノロジーさえ扱う意欲も経験もないテクノフォーブ(技術恐怖症)だが、そのメールを開いたとき、彼女は「ワイヤード」と呼ばれる、インターネットに似た通信ネットワークの仮想世界へと直に導かれてしまう。不可解な謎が次々と降りかかるにつれ、リエンの生活は大きく変容する。どこへ行っても「メン・イン・ブラック」と呼ばれる怪しい男たちが現れ、彼女に質問を投げかけ、彼女自身が知っている以上に彼女のことを何故か知っている。現実とサイバースペースの境界が急速に曖昧になる中、リエンはよりシュールで奇怪な事件の渦中に投げ込まれていく。そこでは、アイデンティティ、意識、知覚といった概念が新たな意味を帯びる。
『テクノライズ』なども手がける脚本家・小中千昭が描く『シリアルエクスペリメンツレイン』は、心理的・前衛的なミステリーシリーズである。現実世界とワイヤードの両方に影響を及ぼす重大な選択をリエンが下していく様を追う。一つの世界を閉じ、もう一つの世界を開くとき、彼らの存在の意義に気付くのは、リエンだけなのである。
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