世界は禁断の平和(システム)に手を伸ばした。
2116年――常守朱が厚生省公安局刑事課に配属されてから、およそ4年が経過していた。
日本政府はついに、シビュラシステムとドローンを全世界へ輸出し始める。長年内戦状態にあったSEAUn(東南アジア連合)のハン議長は、首都シャンバラ・フロートにシビュラシステムを導入した。かつて銃弾が飛び交う紛争地帯の中心であった水上都市シャンバラ・フロートは、一瞬にして平和を手に入れることに成功する。シビュラシステムの実験は見事な成果を収めた――そう見えた。
その時、日本は武装した密入国者たちの侵入を受ける。彼らは日本の警備体制を熟知し、シビュラシステムの監視をかいくぐってテロ行為を開始した。シビュラシステム施行後、前例のないこの密入国事件に対処するため、監視官・常守朱は公安局刑事課一係を率いて出動し、密入国者たちと対峙する。間もなく、これらのテロリストの侵入を導いたと見られる人物が浮上する。
その人物は――かつて公安局刑事課一係の執行官であった男、常守朱の元同僚である。
朱は単身、シャンバラ・フロートへと捜査に向かう。
かつて信じていたあの男の真意を知るために。あの男が信じる正義を見極めるために。
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