あなたを殺したい。
春、着物姿のあなたを見つけた。声をかけた。訝しそうに去っていった。やがてあなたと私はわずかな言葉を交わすようになった。しかし、あなたには誰にも知られてはならない秘密があった。
――それは、抑えきれない破壊衝動。
これはまだ高校生の頃、16歳の両儀式と黒桐幹也が出会う物語である。
ずっと他人と関わりを持ちたがらない式に、幹也は興味を引かれ、何かしらの繋がりを求めていた。
当時はそれが恋心だとは気づかなかった。やがて二人は少しずつ共有する時間を持ち、彼の日々は確かに穏やかに過ぎていった。
――街に連続猟奇殺人事件が起こるまでは。
ある日、幹也は織という、式の内に存在するもう一人の人格と出会う。
肯定する式と否定する織。
相反しながらも同じ思考と嗜好を持つ二人の式に、幹也は次第に混乱していく。
そして、幹也の胸に一つの予感が生まれる。
毎夜、猟奇殺人を繰り返すのは誰なのか?
もちろん予感は予感に過ぎず、事実ではない。自らがその殺人の現場を目撃しなければ信じられない。その予感を確かめるため、彼は密かに決意する――殺人考察の真相にたどり着くのは、それから3年後のことだった。
両儀家から得たわずかな手がかり、知られざる「式たち」の関係、血の海に立つ少女。知らず知らずのうちに、第二章の幕開けは式と幹也の運命の軌跡を導き始めていた。
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