漫画の主人公・ゲンは、両親と姉、弟と共に広島市で平和に暮らしていたが、無実の罪で被爆の被害を受ける。
1945年(昭和20年)8月6日、アメリカ軍による広島への原子爆弾投下により、爆心地近くに住んでいたゲン一家は、二人の息子が学校へ通っていたため難を逃れたが、ゲンの母と姉は原爆の高熱により死亡し、父は行方不明となった。
『はだしのゲン』は自伝的作品であり、漫画の多くのエピソードは中沢啓治の実体験に基づいているが、実際の経験とは異なる部分もある。例えば、原爆投下時、ゲンは小学二年生であったが、中沢啓治は当時小学一年生であった。また、原爆発生後、中沢自身は父や姉、弟の死を直接目撃しておらず(当時現場にいた母からの伝聞による)、さらに母の死も直接は目撃していない(漫画では戦後間もなく亡くなるが、実際には戦後20年後、中沢が東京にいた時である)など。
しかし、母の火葬時に遺骨が残らなかったという事実は、実際に起こった出来事であり、中沢啓治が広島原爆をテーマにした漫画を描く決意を固める重要な契機となった。
物語の後半では、終戦から数年後の戦後状況が描かれており、昭和天皇、アメリカ軍やアメリカ、警察予備隊(後の陸上自衛隊)などへの批判に加え、原爆が残した傷跡にも焦点が当てられている。
時代考証の誤りや極左的な主張に基づく部分があるため、作品の内容や表現手法に対して異論を唱える声も確かにある。しかし、『はだしのゲン』は作者・中沢啓治の実体験に基づき、原爆の悲劇、当時の時代背景や雰囲気を伝えつつ、娯楽性も兼ね備えた作品として、国内外で高い評価を受けており、映画、ドラマ、アニメ、ミュージカル、絵本、講談など様々なメディアで展開されている。gooが2010年6月に行った調査では、「読んでほしい日本史漫画ランキング」で第1位に選ばれている[1]。
単行本及び文庫本の累計発行部数は1000万部を超えている。2007年5月50日からウィーンで開催された第1回核拡散防止条約(NPT)再検討会議に際し、日本政府代表団は『はだしのゲン』の英語版を締約国に贈ることを決定した。外務省は出版社から提供された英語版30冊を受け取り、今後「漫画外交」を推進していく方針とされている。
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