「私……弱い自分を殺した。 譲ったりしない―――――――両儀式」 事故以来、二年。 昏睡状態が続く両儀式は、ずっと「死」に触れ、同時に「死」を恐れていた。 ついに目覚めた。 しかし彼女を待っていたのは、深い孤独と絶望に満ちた景色だった。 失ったものは、同じ器の中でいつも共にあった欠片「織」。 得たものは、万物の死の線を直視できる異形の力「直死の魔眼」。 両儀家さえ知らない、式という存在を育てたことへの報いとして。 夢を見るのが好きだった、織。 深い殺人衝動を抱えていた、織。 今はもう、どこにもいない。 言葉にできない喪失感と死の感触によって、少女は空っぽになった。 霊体にとって、そんな器は彼らが求める最高の目標であることに気づいても――。 そんな少女を守りたいと思う少年がいた。いや、青年と呼ぶべきか。その名は黒桐幹也。 彼の上司は、非常に美しい人形使いの魔術師だが、今は工房「伽藍の堂」のマスター。その名は蒼崎澄子。 ある日、澄子は式に会いたいと思う。どんな名目で会いに行くか? とりあえず、生活指導の名目で。なぜ会いたいのか?それは縁だ。 会って、時間はゆっくりと流れる。しかしついに終わりが訪れる。 ある夜、空っぽの器を求めて、霊体が肉体を襲いに来た。 刹那、少女の目に映ったのは、死の凶煞を捉える静謐な線。手に握ったのはナイフ。輝く瞳。 かくして、少女は自らの四肢で一歩を踏み出す決意をした。
対戦相手を待っています...